2015年1月
Vol.579 フィンランド紀行ふたたび
2015.01.12
2015年、最初のマンデーコラム。本年も宜しくお願い申し上げます。
今年も長いお休みをいただき、1月1日から8日まで、フィンランドで過ごしてきました。
Aaltoの他、昨年、ヘルシンキのアカデミア書店で購入した
木の建物を集めた建築ガイドブック『HELSINKI』を基に廻ってみたり、
1999年に開始されたアアルト大学の『Wood Program』を満喫したり、
また電車に乗ってユヴァスキュラ (Jyväskylä) やラハティ (Lahti) へも足を延ばしてみました。
2015年第1回目のFinland紀行は、建物以外で出会った素敵なモノです。
Vol.580 ユヴァスキュラ (Jyväskylä) Aaltoの街
2015.01.19
ユヴァスキュラはヘルシンキから270㎞、特急電車で3時間半の所に位置します。
Alvar Aaltoが5歳から過ごした街で、大学卒業後、設計事務所を開設したのもこの地です。
まず目指すは、Aaltoミュージアム。ユヴァスキュラ駅前の大きな通りを南東へ歩いて20分。
その途中にも、Aalto設計のPoliisitalo(警察署1967-70)やRakennusvirasto(1975-78)があります。
ミュージアムには多くの模型やパースも展示。その隣には中部フィンランド美術館、
そして道路を挟んでその北側にはユヴァスキュラ教育大学が広がります。
昨年のアアルト大学同様、冬休み中で大学の建物の中には入ることが出来ず残念。
絶対見ておきたいものは、労働者会館の内部。
今回は時間切れと予約していなかったので見る事が出来ませんでしたが、次回は是非!
もう一つはAalto夏の家。『KOE TALO』と言われる実験住宅で、湖に浮かぶ島に建っていて、
ユヴァスキュラからバスで行くことが出来ます。
Aaltoではないですが、今回暗くなってしまい廻れなかったのが、
2008年に完成した現代木造教会のクオッカラ教会(Kuokkalan Kirkko)。
まだまだ行きたい所が沢山です。
旅行の際に参考にしたサイト
*http://www.alvaraalto.fi/
*http://visit.jyvaskyla.fi/en/see-experience/alvar-aalto
*http://www.aaltosali.fi/
Vol.581 artek
2015.01.26
今年も行ってきました。Studio Aalto&The Aalto House。
この時期のガイドツアーはStudioが11時30分~、Houseが13時、14時、15時~、
その時間に合せ、トラムに乗って現地に行くと説明を聞きながら見学できます。
両方のツアー参加で30ユーロ。建築に興味がない人が行っても、
家具や照明、雑貨などartekのショールームを見ているようで楽しいです。
artekは1935年にAaltoが妻Ainoらと共に設立した家具メーカー。
昨年のこのコラムで、両方ともアップしたので、今回はここに並ぶartek商品をご紹介。
実際手に触れたり、明るさを見たり、座ることも出来るので、かなりオススメです。
もう廃盤になってしまったり、色がなかったりするものもあるので、そこも貴重。
ここを見てから、エスプラナーデ通りのartekにもちろん行きました。
お財布とスーツケースの中身との検討ではありましたが(笑)
Vol.582 Ristinkirkko(ラハティ十字架教会)
2015.02.02
ヘルシンキから電車で1時間のラハティ(Lahti)は交響楽団でも有名な音楽の街でもあります。
街の中心にあるエリエル.・サーリネン設計の市庁舎と谷を挟んで、
Marian 通りの反対側にあるAaltoの十字架教会。
1950年の設計コンクールでAaltoが設計者に決まりましたが、
諸事情で実施設計は20年後の1970年~1976年、完成はAaltoの死後、
妻のエリッサが引き継いで1978年でした。
教会のホールは祭壇に向かって狭く且つ低くなり、礼拝式の中心点を強調。
建て替える前の教会の十字架は入口に、ステンドグラスは1階に展示されています。
Vol.583 SEPPO HÄKLI
2015.02.09
昨年ヘルシンキに行った際、映画「かもめ食堂」でも有名なAalto設計のアカデミア書店で購入した
『PUINEN・WOODEN HELSINKI』は、ヘルシンキ界隈の木造の建物を集めた本。
今回もこの中で気になる建物へ行こう!と列挙した所、選んだものが同じ建築家。
その人は、ヘルシンキに設計事務所があるSEPPO HÄKLI。
彼のホームページを見て、この本に掲載されているもの以外も見に行こうと
Aaltoツアー後半は、HÄKLIツアーとなりました。
前回この本を見て気になったセウラサーリ島にあるConservation Centreは、
島中捜し歩いたけど見つけられず。
今回はGoogle map航空写真で見つけたのですが、時間が足りず次回へ持ち越しです。
外壁の木の使い方やデザイン(派手すぎる所もありますが・・・)はとても勉強になりましたが、
ちょっと残念なのはその木の部分に落書きされて、その手直し跡。
でもHPや雑誌で見ると内部も木がふんだんに使われていて、居心地が良さそうです。
中もゆっくり見てみたい!
Vol.584 Juha Leiviskä
2015.02.17
昨年見学をしたミュールマキ教会の内部空間にあまりにも魅了されてしまったので、
今年はその設計をしたJuha Leiviskä(ユハ・レイヴィスカ)の建物巡りもしました。
1936年ヘルシンキ生まれの音楽家でもあり、建築家でもある彼は、
自然光と幾つも連なる照明器具と光を操る魔術師のような、
繊細で優しさ溢れる空間をつくりだしています。
Juha Leiviskäデザインの照明器具はアルテック社でJL341など販売されていますが、
残念ながら日本では売られていないようです。
Vol.585 スケッチ
2015.02.23
今週はフィンランドで描いたスケッチです。
1枚目はラハティ市庁舎。設計はエリエル・サーリネン(Eliel Saarinen)、1911年の建設。
Aaltoの十字架の教会とは谷を挟んで向かい合っています。
一番お世話になっているフィンランド中央駅(1904年-1911年)も彼の設計です。
息子であるエーロ・サーリネン(Eero Saarinen)は、チューリップチェアや
ジョン・F・ケネディ国際空港のTWAターミナルビルの設計でも知られています。
2枚目はマンデーコラムVol.580でも紹介したユヴァスキュラのAaltoミュージアムです。
ラハティ市庁舎
Aaltoミュージアム
Vol.586 Wood Program
2015.03.02
アールト大学の建築学科の一年間の集中プログラム「Wood Program」。
木材や木造建築に焦点を当てたもので、森の中の木で始まり、実験的な木造建築で終わるもので、
木材の、生態学的、技術的、建築的性質を探る1999年から始まった授業だそうです。
つくられた木造建築は、一時的なものであったり、そのまま残る場合もあったりします。
今回、Arabia社近くにある2007年「Rihla」と、
SEPPO HÄKLIの保育園近く、Vuosaariの海に面した2008年「Väijy」を見学。
また、ヘルシンキにあるフィンランド建築博物館で「Wood Program展」が開催されており、
学生たちによって建物が出来るまでの様子を撮影した映像を見る事が出来ました。
フィンランドの森林率は72.91%、日本は68.57%、共に木材資源が豊かですが
日本でも大学にこんな面白い授業があれば、もっと木を使ってみたい!と思うのではないでしょうか。
「Wood Program」のホームページはこちら → http://woodprogram.fi/
Vol.587 恋するWOOD
2015.03.09
今回はFinland紀行・其の2最終回です。
これまでご紹介していなかった今回訪ねた建物をアップ。
次回またフィンランドの地に足を踏み入れることを夢見て。